チームで行う緩和ケアは医療の基本です。
〈研修の特色やこだわり〉
平成25年9月に開設された当院緩和ケア病棟は、専従医師や看護師だけでなく、癌疼痛・緩和ケア認定看護師、看護助手、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、臨床心理士など多職種で協力しながら、ケアにあたっています。院内では、他病棟に入院されている方に対しても、がんの痛みなどのつらい症状や、不安などの精神的な苦痛を和らげ、安らかに過ごしていただけるようお手伝いする緩和ケアチームを組織し活動しています。また当院は医師会立という背景を活かし、かかりつけ医や訪問看護ステーションと連携をとり、積極的に在宅療養を支援しているということが特徴です。
一般的に、緩和ケアというと人生の終末期・ホスピスなどの印象が強いかと思います。確かに緩和ケア病棟では看取りの症例が多いのですが、真の緩和ケア病棟の役割は、患者さんが命を終えるためのお手伝いではなく、その人らしくよりよく生きるためのお手伝いをすることによって残された家族や次世代に命をつないでいくことであると考えながら診療にあたっています。
〈メッセージ〉
皆さんはどのような思いで医師という職業を選択されたのでしょうか。医師の役割をどのように考えていますか。
多くの場合、病気で苦しむ患者さんを助けたい、そして医師の仕事とは病気の診断や治療を行うことだという答えが多いようです。しかしながら、それだけでは治らない病気や死を目前にした患者さんへ対応はできません。死を看取る、そして様々な苦悩を抱えながら精一杯生きる人を最期まで他の医療職と共に支えるということも医師としての大切な仕事なのではないでしょうか。
今後日本は急速な高齢化と共に多死社会を迎えます。そのような現状の中で緩和ケアという考え方は単にがんの終末期だけではなく、がんと診断された早期から、あるいは心不全や他の慢性疾患を抱える患者さん達に対しても重要な考え方になってくることでしょう。これからの医療を支える皆さんもぜひ緩和ケアの考え方を身につけていただきたいと思います
緩和ケア科
馬見塚勝郎